教育行政方針
令和7年度教育行政方針
1.はじめに
令和7年第1回定例会の開会にあたり、令和7年度の岩見沢市教育行政の執行に関する基本的な方針について申し上げます。
新型コロナウイルス感染症が5類感染症に移行し、平穏な日常生活に戻っておりますが、市内の教育機関では、引き続き子どもの安全・安心を確保することはもとより、コロナ禍での経験やGIGAスクール構想を活かした、より質の高い教育活動を展開することで、子どもたちの屈託のない声が響き、煌めく笑顔や集団の中で互いに認め合い・高め合う姿が多く見られるようになりました。
令和6年12月、「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」文部科学大臣から中央教育審議会への諮問があり、現在、学習指導要領の改訂に向けた審議がはじまっております。
岩見沢市教育委員会では、次の時代を見据えた国における審議の過程や施策の方向性を踏まえつつ、岩見沢市教育大綱で示す「教育は、未来を生きる人を育てることを通して、未来を創造する営みであり、人を幸せにするものである」という基本理念に基づき、一人一人が持つ可能性を最大限に伸ばした教育を淀みなく推し進めてまいります。
また、より豊かな人生を過ごすことができるよう、『未来のトビラを拓く、教育のまち 岩見沢』として、子どもたち、保護者、地域住民、そして市民の期待や信頼に応えてまいります。
以下、本年度の施策の概要について述べさせていただきます。
2.学校教育の推進
はじめに、「学校教育の推進」についてです。
昨年度に引き続き、一人一人の子どもたちが秘めている可能性を自ら広げるという意味を込めて、「子どもが煌めく学校教育」を推進してまいります。
1 新しい時代に対応できる力の育成
1点目は、「新しい時代に対応できる力の育成」についてです。
子どもが実りある人生を切り拓いていくうえで必要な力を育み、自立した学習者へと成長させるために、「個別最適な学び」と「協働的な学び」を一体的に充実し、教師主導から学習者主体による授業の転換を図ることで、確かな学力の追究に努めてまいります。
そのため、「主体的・対話的で深い学び」の視点に立って、身に付ける資質・能力を明確にし、教師は子どもとの対話を通して、「教える」べきことを教え、「考えさせる」べきことを考えさせる授業を展開いたします。
加えて、「学習スキルの向上」と「学習ルールの徹底」による子どもたちの学びの形成に努めるとともに、学力向上の基盤となる「傾聴・受容・共感」の信頼関係に基づく学習集団づくりを強化いたします。
また、授業時数特例校制度の活用等や学校として統一性・一貫性のある校内研修の推進と活性化を図る中で、教職員1人1人の当事者意識をより一層醸成し、カリキュラム・マネジメントに基づいた、特色ある教育課程の工夫・改善を行い、「学校づくり=授業づくり」という観点のもと、「学び続ける学校」への組織的な改善を推進してまいります。
そのために、各種調査等による検証と対策の徹底やコミュニティ・エリアにおける義務教育9カ年を見通した組織的な学力向上、並びによりよい学習集団づくりにつながる「岩見沢型ピア・サポート」の推進や「目指す子ども像」を共有した地域との連携強化に努めてまいります。
さらに、GIGAスクール構想による1人1台端末を効果的に活用した授業づくりやデジタル教材等を活用した授業実践と基礎学力の定着、及び家庭での学習習慣の醸成に向けた取組みを推進してまいります。
「英語が使える岩見沢の子ども」の育成に向けては、外国語指導助手(ALT)の有効活用はもちろんのこと、土曜キッズ英会話やAIを活用した英語学習などを行い、外国語教育の充実を進めてまいります。
そのほか、北海道教育大学岩見沢校と連携を強化した教育活動を行うとともに、学校が企画・立案する学力向上や地域との連携などの取組みを積極的に支援し、学校が組織的に機能する学校力、及び学力の向上を図ってまいります。
2 豊かな人間性と健やかな体を育成する教育の推進
2点目は、「豊かな人間性と健やかな体を育成する教育の推進」についてです。
子どもたちの豊かな人間性を育成するため、自尊感情・自己有用感・規範意識等を育てるよう推進してまいります。
なかでも、「岩見沢型ピア・サポート」を引き続き全市的に展開し、子どもの理解と心に寄り添う日常指導の徹底に努めてまいります。
また、郷土資料や副読本等を活用し、子どもたちが岩見沢の人・歴史・文化・自然・産業などを学ぶことにより、郷土に愛着と誇りを持てるよう「ふるさと教育」を推進してまいります。
さらに、道徳教育の充実を図り、命を大切にする心、他人を思いやる心など、自立した人間として他者と共によりよく生きるための基盤となる「心の教育」を推進してまいります。
そのほか、体験活動や読書活動を通して、感性を磨き、自ら考え自ら行動する力を育ててまいります。
健やかな体の育成に関しては、すべての学年で行う体力テストの結果に基づき、体育の授業改善と9カ年を見通した体力づくりに取り組み、体力の向上や運動の習慣化を図ってまいります。
また、全国学力・学習状況調査を踏まえた「望ましい生活・学習習慣の定着」の啓発活動に努めるとともに、薬物乱用防止教育や防災教育の充実を図り、自らの判断で自分の命を守ることのできる力を育成する健康・安全教育を推進してまいります。
あわせて、子どもたちがどの学校に通っていてもスポーツや芸術文化に継続して親しむ機会を確保するよう、部活動の地域移行を進めてまいります。
3 育ちと学びを支える教育環境の充実
3点目は、「育ちと学びを支える教育環境の充実」についてです。
「岩見沢市いじめ防止基本方針」に基づく「いじめの積極的な認知」と「いじめ見逃しゼロ」をはじめとした迅速かつ組織的な対応を充実させるために、「岩見沢市いじめ問題対策連絡協議会」等の組織や「教育支援センター」と学校との連携を中心に、いじめや不登校の問題をはじめ、悩みや不安を持つ子どもや保護者の気持ちに寄り添い、包括的な支援を行ってまいります。
また、特別支援教育支援員や学校看護師の配置等により、子ども一人一人の能力や可能性を伸ばす特別支援教育の充実に努めるとともに、将来の生き方や望ましい職業観・勤労観を育むキャリア教育を推進してまいります。
さらに、学習塾と連携したオンデマンドによる教科・英検学習、及び長期休業中の「学び合い広場」など、多様な学びの場と機会を積極的に提供してまいります。
教育研究所では、今日的な教育の調査・研究に努めるとともに、教員の実践的指導力や専門性など、キャリアステージに応じた資質・能力の向上を図る研修を促進してまいります。
加えて、地域全体で子どもの学びと成長を支えるため、学校運営協議会と地域学校協働本部を両輪として一体的な活動を推進してまいります。
また、南空知初となる義務教育学校「くりさわ学舎」を開校し、9カ年を通した学びのつながりを大切にした栗沢らしい特色ある教育を進めてまいります。
青少年センターでは、学校・家庭・地域と連携しながら、街頭補導や有害環境の改善に努め、低年齢化するデジタル端末機等の利用に対応した啓発資料や出前講座などを通して、情報モラル教育やメディアリテラシーの向上を図ってまいります。
そのほか、子どもたちの安全・安心で快適な教育環境を確保するため、学校施設の老朽化対策など、施設設備の改修を行ってまいります。
4 信頼と期待に応える開かれた学校づくり
4点目は、「信頼と期待に応える開かれた学校づくり」についてです。
子どもたちが未来を生き抜くために必要な資質・能力を育むことができるよう、「社会に開かれた教育課程」を実施し、教育活動や学校運営の改善・充実を推し進めるとともに、業務の見直しや効率化を図り、子どもと向き合う教育を大切にした「学校における働き方改革」を推進してまいります。
また、コミュニティ・エリアを基盤として、学校・家庭・地域が連携・協働した「地域とともに歩む学校づくり」と「学校を核とした地域づくり」を推進し、社会総がかりで子どもを育てる学校教育を進めてまいります。
さらに、幼児期から義務教育を通して高校・大学までの連携・交流を強化し、学びの連続性を実現する教育活動を展開してまいります。
5 緑陵高等学校の教育の充実
5点目は、「緑陵高等学校の教育の充実」についてです。
生徒一人一人が生き生きとして学校生活や勉学に励む環境を持続するとともに、高度なICT機器を活用した授業の実施など、教育環境の充実を図ってまいります。
加えて、市立高校として、地域との連携を深化させ、地域を愛し、地域に貢献する心豊かな人材の育成を目指してまいります。
また、課題研究、探究学習といった主体的な学びの充実や国の高等学校DX加速化推進事業を活用し、デジタル社会に即応できる人材の育成など、質の高い教育を提供してまいります。
さらに、普通科、情報コミュニケーション科の併置校という特色を活かして生徒の興味関心に応え、多様な進路を可能とする教育課程を編成・実施し、将来の自己実現に向けた資質・能力を育成する活力と魅力ある学校づくりを推進してまいります。
6 学校給食の充実
6点目は、「学校給食の充実」についてです。
学校給食共同調理所においてHACCPに基づいた食品の衛生管理を徹底することはもとより、新鮮で安全な地元産の食材を積極的に活用し、子どもたちに喜ばれる学校給食の提供に努めてまいります。
また、子どもたちが必要とするエネルギー量や栄養バランスが確保された給食を安定的に提供するため、急激な物価高騰に対する、保護者の負担を考慮しながら適切な学校給食費の設定について検討してまいります。
食育については、栄養教諭による授業や共同調理所の見学等を通して子どもたちが食に対する関心を高め、生産者や給食に関わる全ての人への感謝の気持ちを持つとともに、望ましい食習慣を身につけることができるよう取り組んでまいります。
食物アレルギーへの対応については、子どもの命と健康を守ることを最優先とし、家庭や学校と連携して、安全で、安心な学校給食の提供に取り組んでまいります。
また、市民に学校給食への理解を深めていただけるよう、給食試食会や学校給食展など各種事業に取り組んでまいります。
3.社会教育の推進
次に、「社会教育の推進」についてです。
市民一人一人が将来に希望をもって生き生きと学び、創造性に富んだ豊かな人間性を育み、潤いのある地域づくりにつながるよう「生涯にわたって主体的に学ぶ環境づくり」を推進してまいります。
1 生涯学習の充実
1点目は、「生涯学習の充実」についてです。
子どもから高齢者まで、誰もが生涯にわたって学ぶことの喜びを実感し、生きがいに満ちた豊かな生活を送るため、生涯学習センターを拠点に「いわみざわチャレンジスクール」や「いわみざわ市民大学」の開催など、多様な学習機会の充実に取り組んでまいります。
また、郷土科学館では郷土の歴史や生活文化資料を収集、及び保存するとともに、展示やプラネタリウムの効果的な活用に努め、歴史や文化、自然科学に関する知識の醸成を図ってまいります。
2 芸術文化・スポーツ活動の推進
2点目は、「芸術文化・スポーツ活動の推進」についてです。
芸術文化・スポーツは、創造性や感受性を育み、また、健康増進や達成感など、市民の生活に潤いと心身両面に豊かさをもたらします。
そのため、芸術文化の鑑賞や活動機会を充実させ、岩見沢文化連盟との連携による「市民の文化祭」をはじめ、市民会館や絵画ホールなどにおける各種事業の実施を推進してまいります。
また、郷土の歴史や文化を後の世代に継承していくため、指定文化財の保存や活用、各種郷土芸能を次世代に守り伝える取り組みを進めてまいります。
加えて、旧美流渡中学校校舎の改修を行い、地域の特性である芸術文化を核とした交流拠点施設として地域の活性化を図ってまいります。
さらに、生涯を通して、スポーツに親しむことができるよう、北海道教育大学岩見沢校と連携したスポーツ教室をはじめ、運動やスポーツの習慣化を促進するとともに、文化・スポーツ団体の活動や全国大会出場者等への支援を行ってまいります。
また、多様な活動拠点となる文化・スポーツ施設の適切な維持管理とともに、東山公園庭球場のコート整備を行うなど、安全で快適な環境づくりに取り組んでまいります。
3 図書館運営の充実
3点目は、「図書館運営の充実」についてです。
図書館では、地域の知の拠点として資料の収集・整備に努め、司書の専門性を活かした様々な情報発信や図書資料の効果的な活用を図ってまいります。
加えて、読書活動の利便性を高める取り組みとして、市内各所で予約本の受取や返却をすることができるよう、引き続き「地域拠点サービス」を提供するとともに、図書館内の環境整備に向け、館内照明のLED改修を進めてまいります。
また、「第2期いわみざわの子ども読書プラン」に基づき、ブックスタート事業のほか、学校図書館や児童館・放課後児童クラブ等との連携など、幼児期から子どもたちが本に触れる機会の充実に努めてまいります。
さらに、社会教育施設や市民団体との連携・協力により幅広い世代の読書活動を推進してまいります。
4.むすび
以上、令和7年度の教育行政の方針について、主要な施策を中心に取組の大要を申し上げました。
岩見沢が持つ多彩な自然や文化、教育施設、農業や観光などの様々な産業、そしてこれらの特色を活かした地域社会は、子どもたちの無限なる可能性を引き出すための、何にも勝る教育資源となります。
なおかつ、コミュニティ・エリアにおいて、学校の応援団として、教育活動を支えていただいている学校ボランティアの方々をはじめ、町内会、子ども会、同窓会、PTAなど、地域の皆様は、岩見沢の人の温もりやつながりの「証」でもあります。
岩見沢市教育委員会としては、このような資源や人とのつながりを最大限に活かしながら、「このまちで生まれ、このまちで育ち、このまちで暮らしたい」と誰もが心から思える教育施策に誠心誠意取り組んでまいります。
議員の皆さま、市民の皆さまのご理解、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
教育行政方針PDF版
令和7年度 教育行政方針 (PDFファイル: 320.5KB)
令和6年度 教育行政方針 (PDFファイル: 267.0KB)
令和5年度 教育行政方針 (PDFファイル: 339.1KB)
令和4年度 教育行政方針 (PDFファイル: 337.4KB)
令和3年度 教育行政方針 (PDFファイル: 172.9KB)
令和2年度 教育行政方針 (PDFファイル: 172.0KB)
平成31年度 教育行政方針 (PDFファイル: 336.6KB)
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更新日:2025年03月03日