令和6年度市政方針

ページID : 3439

更新日:2024年02月26日

令和6年度予算案及び関連議案を提出するに当たり、新年度の市政運営に臨む私の所信を申し上げます。

昨年5月の新型コロナウイルス感染症の5類移行後、国内経済の回復基調が続いている一方で、全国的に進行する少子高齢化や人口減少に加え、都市と地方との人口の偏在、多様な働き方とライフスタイルの変容、大規模な自然災害の多発などにより、価値観の変化や社会変革の「転換期」を迎えています。

当市では、第1期及び第2期総合戦略に掲げた施策・事業の着実な推進により、年少人口の転入増や社会動態の改善傾向が見られており、新たに策定する「第3期総合戦略」に基づき、引き続き、時代の変化などにしなやかに対応しながら、持続可能な地域社会の実現に向けた取組みを進めてまいります。

特に、未来を担うこどもや子育て世代への支援については、これまで総合計画や総合戦略の重点施策として位置づけ、他の自治体に先駆けて、こども・子育てひろば「えみふる」を中心に様々な事業を展開しており、北海道大学COIとの取組みでは低出生体重児の出生率低下などの成果も現れ、国内外からも高い評価を受けるなど、生まれる前から切れ目なく、こどもが健やかに成長し、安心して子育てができる環境づくりに努めてまいりました。

こうした取組みは、当市の「優位性」「強み」の一つでもあり、更に深化させ、子育て世代へアプローチしていくことで、現役世代の活力を生み出し、まち全体の活力創出につなげていく必要があります。

新年度におきましては、こども・子育て支援体制のネクストステージとして、関連する業務の集約化と効率化を図る組織の再編を行い、「子育てにやさしいまち」に向けた取組みを更に進めてまいります。

また、当市は昨年、開庁140年・市制施行80周年を迎え、新年度は、新たな時代へのスタートとなります。

これまで積み重ねてきた取組みとその成果を基礎として、未来のあるべき姿を見据えながら、山積する当面の課題にもしっかりと取り組み、挑戦する姿勢を常に忘れず、「オール岩見沢」「チーム岩見沢」で新しい時代への歩みを進めてまいります。

市政運営の基本姿勢

私は、市長に就任して以来、市政運営の基本は「市民の皆さまとの信頼」と申し上げてまいりました。これからも、徹底した現場主義のもと、市民本位の市政、開かれた市政の実現に努めてまいります。

市政を取り巻く環境が厳しさを増す中、持続的な発展と継続のためには、徹底した事業の選択と集中、未来技術の積極的な利活用と経営資源配分の最適化を進めていく必要があります。

加えて、職員一人ひとりが「岩見沢のまち」のために働いているという基本を改めて自覚し、資質・能力を含めた総合的な職員力を高めていくことが大切であり、そのためにも、私自身が先頭に立って、市政のさらなる飛躍を目指し、引き続き、市役所改革に取り組んでまいります。

重点的に取り組む分野・新年度予算の主要施策

新年度は、次の6分野を重点的に取り組む分野として位置付け、市政を運営してまいります。

1.地域で支え合う 安全・安心なまちづくり

1点目は、「地域で支え合う 安全・安心なまちづくり」です。

1月1日に発生した能登半島地震において、犠牲になられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された多くの皆さまに心からお見舞いを申し上げます。

発生から約2か月が経過した現在も、懸命の復旧活動が続く一方、多くの方々が避難所での生活を余儀なくされています。

改めて、自然災害の脅威を痛感するとともに、あらゆる事態を想定した取組みの重要性を再認識し、「地域防災計画」と「強靭化計画」を両輪として、計画的な備蓄品等の整備や市庁舎を拠点とする本部体制の強化のほか、出前講座や市民参加の防災訓練等を通じて地域防災力の向上を図り、災害に強いまちづくりを推進してまいります。 また、国や北海道の動向等を踏まえ、「強靭化計画」の改定作業を進めてまいります。

総合的な雪対策は、豪雪地帯の当市において、市民生活と経済活動を支える重要な取組みであり、段階的に充実と強化を図ってまいりました。引き続き、迅速かつ機動的な除排雪の実施、地域自主排雪やボランティア除雪への支援、雪下ろし・間口除雪・定期排雪への助成、ICTを活用した除排雪作業など、着実に進めてまいります。

男女共同参画社会の推進については、第3次いわみざわ男女共同参画実践プランに基づき、誰もが性別に関わらず、個性や能力を発揮できる社会を目指し、ワーク・ライフ・バランスの実現や性の多様性の理解促進、パートナーシップ宣誓制度の周知・啓発に取り組んでまいります。

2.みんなが健康で元気に暮らせるまちづくり

次に、重点分野2点目の「みんなが健康で元気に暮らせるまちづくり」です。

市民一人ひとりの健康づくりを通じ、まち全体の健康を高め、活力ある地域社会の創出へとつなげていく「健康経営」の考えのもと、引き続き、「市民一人ひとりが健康で生きがいを持ってくらせる健康経営を実践するまち」を目指し、北大COI―NEXTとの連携により、産学官金が一体となって「健康コミュニティ」の取組みを進めてまいります。

市民の健康を「まもる」、「つくる」、「つなぐ」拠点である「いわみざわ健康ひろば」において、市民が気軽に参加できる健康チェックや健康相談、健康教室などの事業を継続して実施するとともに、ウォーキング等にも健康ポイントが付与されるスマートフォンアプリの活用を進めることで、市民の自発的な健康づくりをサポートしてまいります。

疾病予防と早期発見・治療については、インターネット予約や電話による勧奨により、がん検診の受診率向上を図るほか、医療費データを活用した健康課題の分析や生活習慣病の重症化予防支援、フレイル予防啓発等に取り組んでまいります。

また、新たに定期接種に追加される新型コロナワクチンを含め、国の制度に基づき、疾病予防、感染症蔓延防止の取組みを進めてまいります。

高齢者福祉については、ニーズに応じた医療・介護・介護予防・生活支援などを確保する「地域包括ケアシステム」の更なる深化とともに、認知症施策の推進として、早期診断・対応、相談支援などに取り組んでまいります。

障がい者福祉については、障がいの有無にかかわらず、互いに支えあい、安心して暮らすことができるインクルーシブな共生社会の実現を目指し、多様なニーズに応じたサービス等の充実を図るとともに、アールブリュットギャラリー等における芸術作品の鑑賞機会の提供を通じて、障がいに対する理解促進に努めてまいります。

市立総合病院については、南空知の中核病院として、引き続き、良質な医療の提供と経営強化に努めるとともに、新病院の建設については、患者の受療動向を踏まえた適正規模の検証を行いながら、令和10年春の開院に向け実施設計を行ってまいります。

また、新病院の開院までの経営状況の見通しを踏まえ、医療資源の集約化による効率的な病院運営を図るため、北海道中央労災病院との早期経営統合についても検討を進めてまいります。

3.活力と賑わいに満ちた 魅力あふれるまちづくり

次に、重点分野3点目の「活力と賑わいに満ちた 魅力あふれるまちづくり」です。

基幹産業である農業については、様々な実証プロジェクトを通じ、未来を見据えた先駆的な取組みであるスマート農業の有用性を農業者へ広く発信するとともに、科学的根拠に基づく「土づくり」との連動とマーケティング分析による農業所得の向上に努めてまいります。

北村・大願地区における「国営緊急農地再編整備事業」をはじめ、国や北海道と連携し、計画的な基盤整備を進めるとともに、農業水利施設等の適切な保全管理を継続して行い、農業被害の軽減に努めてまいります。

地域経済の活性化については、公共投資である普通建設事業費を一定水準確保し、市内企業の経営基盤の安定と強化を図るとともに、資金調達の円滑化の促進やプレミアム付建設券の発行支援を通じ、地域経済の好循環へとつなげてまいります。

中心市街地の活性化については、商工業者等との連携により、まちなかの賑わいの創出や商店街の魅力向上などのほか、「あそびの広場」や「であえーる岩見沢」を核とした、回遊の促進を図るとともに、岩見沢商工会議所が中心となって構想を進めている「新商工会議所会館」の建設に向けた支援に取り組んでまいります。

新たな産業の創造と雇用の創出については、ICTや食品製造関連産業など、地域特性を活かした新事業創出や企業間連携、企業誘致を推進するとともに、人材育成や創業支援、テレワークの推進など、多様なワークスタイルに対応した就業環境づくりを進めてまいります。

また、地域GXの推進については、北村地区に設置している「地産地消・自立型地域エネルギーシステム」を活用した様々な実証を展開し、産業への利活用など社会実装に向けた取組みを進めてまいります。

観光・物産の振興については、岩見沢市観光協会を中心として、メープルロッジや北村温泉などを核に、インバウンド需要の回復やマイクロツーリズムも意識したプロモーションの強化を図るとともに、バラ園やワイナリー等の特色ある観光資源と連動させた着地型旅行商品の開発のほか、ネット販売等による特産品の販路拡大に取り組んでまいります。

シティプロモーションについては、市外居住者も含めた多くの方に当市への関心を高め、興味を持って頂ける「選ばれるまち」として、こども・子育て支援といった特色ある施策等を戦略的かつ効果的な発信を通じ、移住・定住の促進や交流人口の増加につなげてまいります。

4.豊かな心と生きる力をはぐくむまちづくり

次に、重点分野4点目の「豊かな心と生きる力をはぐくむまちづくり」です。

こども・子育て支援については、その中核を担う組織として、健康福祉部内に「こども家庭センター(仮称)」を設置し、国が推進する母子保健と児童福祉の両機能の一体的な運営に加えて、複数の組織に跨っていた関連事業を集約し、サービスの質や量の拡充のほか、教育委員会や関係機関・団体等との連携などにより、相談・支援体制の一層の充実を図るとともに、次期「こども・子育てプラン」の策定に着手してまいります。

子育てに関する経済的負担の軽減については、市独自に実施している3歳未満の保育料の引下げや学校給食費の保護者負担の据置きを実施するとともに、昨年、高校生世代まで対象を拡大した入・通院医療費無料化について、児童手当の拡充に合わせて10月から所得制限を撤廃するなど、支援の強化を図ってまいります。

また、教育訓練や資格取得を目指す方に対する給付金のほか、不妊・不育症治療費等の助成を実施してまいります。

さらに、地域型保育事業による0歳児から2歳児までの受入れ枠の確保や病児保育運営事業、子育て短期支援事業、子育て支援夜間養護等事業、産前産後ヘルパー事業、ファミリー・サポート・センター事業などを実施するとともに、母子健康調査や乳児全戸訪問、妊婦・乳幼児健康診査、産婦健康診査などを通じて、育児不安を軽減し、気軽に相談できる体制の充実に努めるほか、学校へ看護師や支援員を配置し、医療的ケアや特別な支援を必要とするこどもが安心して保育や教育を受けられる環境づくりを進めてまいります。

質の高い教育環境の充実については、教育は「まちづくり」という理念のもと、教育大綱に基づき、教育委員会と一層の連携を図りながら、GIGAスクール環境の活用による優れた学習活動の展開、教員のスキルアップに取り組むとともに、夏季の猛暑による熱中症等の健康被害の防止と安全安心な学びの場の確保のため、児童館や小・中学校及び緑陵高等学校の普通教室等にエアコンを設置してまいります。

北海道教育大学岩見沢校との連携については、有明交流プラザ内の「i-BOX」を核として、市内全域をフィールドとした企画展等の開催に加え、様々な分野で大学・学生と市民との交流を深める取組みを進めるとともに、昨年開催した「いわみざわ芸術文化・スポーツの祭典」を契機として、次年度以降の芸術祭等の開催に向けた検討を進めてまいります。

5.自然と調和した 快適で暮らしやすいまちづくり

次に、重点分野5点目の「自然と調和した 快適で暮らしやすいまちづくり」です。

都市整備の推進については、都市計画事業として着手した西20丁目通についての北海道やJR北海道との協議と用地取得を進めるとともに、コンパクト・プラス・ネットワークのまちづくりを目指し、次期都市計画マスタープランや緑の基本計画と合わせて、新たに「立地適正化計画」の策定を進めてまいります。

また、道路環境の整備については、引き続き、幹線道路や橋りょうの長寿命化に取り組んでまいります。

安全な住まいづくりについては、旧耐震基準の木造住宅やブロック塀の改修費助成のほか、高い耐震性能と断熱性能及び脱炭素化に資する対策を備えた、北方型住宅の建設費補助を実施してまいります。

また、市営住宅については、6条中央団地の建替工事を継続して実施するとともに、中長期的な需給バランスを考慮した適切な戸数管理を進めてまいります。

公共交通については、「地域公共交通計画」に基づき、効率的で利便性が高く、持続可能な交通体系の構築と利用促進に取り組んでまいります。

上下水道については、「地域を支える持続可能な上下水道」を基本理念として、引き続き、計画的な整備と効率的な運営に努めてまいります。

緑豊かなまちづくりの推進については、道内隋一の規模を誇る「いわみざわ公園バラ園」を核として、市の花「ばら」によるまちづくりを市民と協働で推進するとともに、大正池の供用開始のほか、利根別自然公園といわみざわ公園とを結ぶ散策路を整備してまいります。

ゼロカーボンシティの実現に向けては、地球温暖化防止実行計画に基づき、太陽光発電システムの導入補助や公共施設等における照明設備のLED化など、温室効果ガス排出量の削減に努めてまいります。

また、循環型社会の形成に向け、新たにペットボトルの水平リサイクルに取り組んでまいります。

地域情報化の推進については、地域特性であるICT環境を最大限に活用し、行政サービスをはじめ、産業や教育、子育て、健康、医療、除排雪など、様々な分野の課題解決やサービス等の質の向上に資する新たな社会システムの実装に取り組み、産学官民の協働による地域全体のDX化を進めてまいります。

6.市民とともに創る 持続可能で自立したまちづくり

最後に、重点分野6点目の「市民とともに創る 持続可能で自立したまちづくり」です。

様々な対話の機会を通じ、市民の皆さまの想いを市政に最大限反映するよう努めるとともに、広報誌やホームページ、SNSなど、多様な情報発信手段を効果的に活用し、市民目線に立った情報の発信と共有を進めてまいります。

行政サービスの維持、充実については、「書かない窓口」の拡張やキャッシュレス決済の活用、電子申請など、今後も利便性向上と業務の効率化を進めるとともに、市民の皆さまが質の高いサービスを実感できるよう、スマートデジタル自治体の取組みを進めてまいります。

また、複雑化・高度化する行政課題に対応していくため、職員研修の充実や国・北海道などとの人事交流を通じて、職員の政策形成能力の向上と専門知識の習得を図るとともに、より一層の意識改革に取り組んでまいります。

公共施設等総合管理計画に掲げている施設の総量削減については、今後の厳しい財政見通しを踏まえ、市民の皆さまへの丁寧な説明に留意しながら、具体的な再編に取り組んでまいります。

南空知圏域における広域行政の推進については、圏域の人口規模が縮小する中、質の高いサービスを持続的に提供していくため、行政事務の効率化や経営資源の共同利用等を見据え、当市が中心市としての役割を担い、定住自立圏の形成に向けた取組みを進めてまいります。

むすび

令和6年度の予算は、「選択と集中」の視点に立ち、事業目的別予算編成の手法により、必要な事務事業の新設、既存事業の再構築を行い、事業間の相乗効果による好循環の拡大を図るとともに、こども・子育て支援をはじめとした、未来への投資となる事業に重点的に配分いたしました。

その結果、一般会計の総額は482億円、前年度比3.4パーセントの増、特別会計と企業会計を合わせた全会計の総額は914億800万円、前年度比2.6パーセントの増となりました。

厳しい財政環境の中、財政調整基金から10億8,000万円の繰入れをいたしますが、持続可能で自立した行財政基盤の確立に十分留意するとともに、重点的に取り組む分野をはじめ、必要な施策全般にバランス良く予算を編成することができたものと考えております。

以上、令和6年度の市政方針と所信を申し上げました。

議員各位並びに市民の皆さまのご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

この記事に関するお問い合わせ先

企画室
〒068-8686 北海道岩見沢市鳩が丘1丁目1番1号
直通電話:0126-35-4834
代表電話:0126-23-4111
ファックス:0126-23-9977


このページに対するお問い合わせ

みなさまのご意見をお聞かせください
このページの内容は分かりやすかったですか
このページは見つけやすかったですか