令和7年度市政方針

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更新日:2025年03月03日

令和7年度予算案及び関連議案を提出するに当たり、新年度の市政運営に臨む私の所信を申し上げます。

昨年の日本人の出生数は、統計開始以来、初めて70万人を下回り、9年連続で過去最少を更新する見通しが示され、我が国の少子化の進行に歯止めがかかっていない状況が浮き彫りとなっています。

また、団塊の世代(昭和22年から24年生まれ)がすべて75歳以上の後期高齢者となり、今後、死亡者数の増加に拍車がかかることが見込まれ、急速な少子高齢化と人口減少の進行は、労働力不足や経済規模の縮小、更には社会保障関係経費の増加など、社会的・経済的課題に深刻な影響を及ぼすことが懸念されています。

当市においても、昨年の出生数が過去最少の275人となり、全国的な傾向と同様、少子高齢化を主因とした人口減少が進行しており、生産年齢人口の減少による産業の担い手不足や、高齢化の進展による社会保障関係経費の増加といった課題が顕在化しています。

加えて、近年の急激な物価高騰や労務単価の上昇、高度経済成長期に整備した施設やインフラに係る維持管理経費の増大なども相俟って、市政運営に必要な財源の確保がこれまで以上に困難な状況となっており、令和7年度予算案における財政調整基金からの繰入れの大幅な増加に伴い、基金の残高が急激に減少する懸念があります。

総合計画や総合戦略に基づき、将来にわたって誰もが安心して暮らせる持続可能なまちづくりを進め、次の世代につなげていくには、安定した行財政基盤を確立していかなければなりません。

そのため、受益者負担の適正化や事務事業のスクラップ・アンド・ビルド、公共施設の統廃合、市債発行の抑制による公債費負担の軽減、効率的な組織体制の構築など、さらなる行財政改革を推進し、収支の均衡と将来負担の軽減を図ってまいります。

人口減少や少子高齢化の進行、依然として沈静化の兆しが見えない原油価格や物価の高騰に加え、地球温暖化に起因する気候変動、さらには価値観や生活様式の多様化など、複合的な課題が絡み合い、社会の変化はさらに加速しています。

このように不確実性が高く、将来の展望が見通しにくい時代が今後も続くことが想定されますが、未来のあるべき姿を見据え、時代の変化に適応しながら、直面する課題にもしっかりと対応し、「より住みやすいまち」、「より暮らしやすいまち」を目指して、「オール岩見沢」「チーム岩見沢」で、市政の持続的な発展に向けて取り組んでまいります。

市政運営の基本姿勢

私は、市長に就任して以来、市政運営の基本は「市民の皆さまとの信頼」と申し上げてまいりました。これからも、徹底した現場主義のもと、市民本位の市政、開かれた市政の実現に努めてまいります。

また、市政を取り巻く環境が厳しさを増す中、職員一人ひとりが「岩見沢のまち」のために働くという共通のベクトルを持ち、資質・能力を含めた総合的な職員力を高めていくとともに、内容や量などを踏まえた業務の効率化と人的資源配分の最適化を進め、全庁一丸となって市政運営に取り組んでいくことが重要と考えています。

そのためにも、私自身が先頭に立って、市役所改革を着実に進めてまいります。

重点的に取り組む分野・新年度予算の主要施策

新年度は、次の6分野を重点的に取り組む分野として位置付け、市政を運営してまいります。

1.地域で支え合う 安全・安心なまちづくり

1点目は、「地域で支え合う 安全・安心なまちづくり」です。

防災対策については、「地域防災計画」と「強靭化計画」を両輪として、計画的な備蓄品等の整備や市庁舎を拠点とする本部体制の強化のほか、出前講座や市民参加の防災訓練等を通じて地域防災力の向上を図り、災害に強いまちづくりを推進してまいります。

総合的な雪対策については、豪雪地帯の当市における市民生活と経済活動を支える重要な取組みであり、迅速かつ効率的な除排雪の実施、地域自主排雪やボランティア除雪への支援、雪下ろし・間口除雪・定期排雪への助成、ICTを活用した除排雪作業など、着実に進めてまいります。

男女共同参画社会の推進については、「第3次いわみざわ男女共同参画実践プラン」に基づき、誰もが性別に関わらず、個性や能力を発揮できる社会を目指し、ワーク・ライフ・バランスの推進や性の多様性の理解促進に努めるとともに、実践プランの中間見直しを進めてまいります。

2.みんなが健康で元気に暮らせるまちづくり

次に、重点分野2点目の「みんなが健康で元気に暮らせるまちづくり」です。

市民一人ひとりの健康づくりを通じ、まち全体の健康を高め、活力ある地域社会の創出へとつなげる「健康経営」の考えのもと、北大COI‐NEXTとの連携により、産学官金が一体となって市民の健康を支える「健康コミュニティ」の取組みを推進してまいります。

また、「いわみざわ健康ひろば」において、健康チェックや健康相談、健康教室などを実施するとともに、ウォーキング等にもポイントが付与される「健康ポイントアプリ」の活用を進め、自発的な健康づくりを支援してまいります。

疾病予防と早期発見・治療については、電話等による受診勧奨を行うことで、がん検診の受診率向上を図るほか、医療費データを活用した健康課題の分析や生活習慣病の重症化予防支援、新たに追加される帯状疱疹ワクチンを含めた定期接種、フレイル予防啓発等に取り組んでまいります。

高齢者福祉については、医療や介護、介護予防、生活支援などを一体的に提供する「地域包括ケアシステム」の推進とともに、認知症の早期発見・対応、相談支援などに取り組んでまいります。

障がい者福祉については、障がいの有無にかかわらず、互いに支えあい、安心して暮らすことができる共生社会の実現を目指し、多様なニーズに応じたサービスの充実とともに、相談支援の中核を担う「基幹相談支援センター」を新たに設置し、体制の強化を図ってまいります。

また、アールブリュット作品の常設展示を「岩見沢市絵画ホール」内に移し、鑑賞機会の拡充を図ることで、障がいに対する理解促進に努めてまいります。

市立総合病院については、ポストコロナにおける受療動向の変化や労務単価や物価上昇による費用の増加など、厳しい経営環境に直面しています。

来年4月の北海道中央労災病院との経営統合に向けた取組みを進めるとともに、現在見直しを進めている「経営強化プラン」に基づく経営改善に着実に取り組み、安全・安心で良質な医療を提供してまいります。

また、新病院の建設については、現在の施設が持つ老朽化や狭隘化などの課題が解消されるだけでなく、急性期や救急医療の確立を図り、南空知医療圏域における地域センター病院として、将来にわたって質の高い地域医療を提供していくため、令和10年秋の開院に向け、実施設計を完成させ、建設工事に着手してまいります。

3.活力と賑わいに満ちた 魅力あふれるまちづくり

次に、重点分野3点目の「活力と賑わいに満ちた 魅力あふれるまちづくり」です。

基幹産業である農業については、未来を見据えた取組みであるスマート農業の普及促進と加速化を図るとともに、科学的根拠に基づく「土づくり」との連動を図り、消費者ニーズに即した農産物の生産を通じて農業所得の向上に努めてまいります。

また、北村・大願地区における「国営緊急農地再編整備事業」をはじめ、国や北海道と連携しながら基盤整備を計画的に推進するとともに、農業水利施設等の適切な保全管理を継続して行うなど、経営基盤の強化に努めてまいります。

加えて、農林産物等へ多大な被害を与えている有害鳥獣に対しては、関係機関や団体で構成された岩見沢市有害鳥獣対策協議会などと連携を図り、被害の防止・軽減に取り組んでまいります。

地域経済の活性化については、公共投資である普通建設事業費を一定水準確保し、市内企業の経営基盤の安定と強化を図るとともに、資金調達の円滑化やプレミアム付建設券の発行支援を通じ、地域経済の好循環を促進してまいります。

また、中心市街地の活性化に向けて、商工業者等と連携し、「あそびの広場」や「であえーる岩見沢」を核とするまちなかの賑わい創出や商店街の魅力向上などに取り組むとともに、「新商工会議所会館」の建設に向けた支援を行ってまいります。

新たな産業と雇用の創出については、ICTや食品製造関連産業など、地域特性を活かした事業創出や企業誘致を進めるとともに、近隣市町と連携した広域的な雇用対策、人材の確保や育成のほか、多様な働き方に対応した就業環境づくりを進めてまいります。

観光・物産の振興については、岩見沢市観光協会を中心に、メープルロッジや北村温泉などを核としたインバウンド需要やマイクロツーリズムを意識したプロモーションを展開するとともに、バラ園やワイナリー等の特色ある地域資源を活かした誘客促進、ネット販売等による特産品の販路拡大に取り組んでまいります。

4.豊かな心と生きる力をはぐくむまちづくり

次に、重点分野4点目の「豊かな心と生きる力をはぐくむまちづくり」です。

こども・子育て支援については、現在策定を進めている「岩見沢市こども計画」に基づき、「こども家庭センター」を中心に、こどもや妊産婦に対する母子保健と児童福祉機能の一体的な相談・支援に加え、母子健康調査や乳児家庭全戸訪問、妊産婦・乳幼児健康診査のほか、産前産後ヘルパー事業、ファミリー・サポート・センター事業などの実施により、育児不安を軽減し、気軽に相談できる体制の充実に努めるとともに、「すこやか健康手帳アプリ」や子育てポータルサイトを活用し、情報発信の強化を図ってまいります。

また、少子化対策の一環として、妊娠期から出産・子育てまで一貫して行う伴走型相談支援や不妊・不育症治療費等の助成に加え、若い世代が出産や子育てを自分事として捉えられるよう、ライフデザイン支援に取り組んでまいります。

さらに、3歳未満児の保育料引下げや、高校生年代までの入・通院医療費無料化などにより、子育てに関する経済的負担の軽減に努めるとともに、地域型保育による0歳児から2歳児までの受入れ枠の確保、病児保育の運営、保育人材の確保に向けた支援に加え、新たに、医療的ケアや特別な支援を必要とするこどもが安心して保育を受けられる環境を整備するなど、保育・幼児教育の充実に取り組んでまいります。

教育環境の充実については、教育は「まちづくり」という理念のもと、教育大綱に基づき、教育委員会と連携を図りながら、GIGAスクール環境を活用した質の高い学習活動の展開、教員のスキルアップなどに取り組んでまいります。

また、栗沢地域において、初の義務教育学校となる「くりさわ学舎」を開校し、地域と一体となって特色ある教育活動を展開していくとともに、東部丘陵地域においては、新たな地域と文化の交流拠点となる旧美流渡中学校の改修を進めてまいります。

北海道教育大学岩見沢校との連携については、有明交流プラザ内の「i‐BOX」を核として、市内全域をフィールドとした企画展の開催などを通じて、学生の活躍の場を創出するとともに、様々な分野で大学・学生と市民との交流を深める取組みを進めてまいります。

5.自然と調和した 快適で暮らしやすいまちづくり

次に、重点分野5点目の「自然と調和した 快適で暮らしやすいまちづくり」です。

都市整備の推進については、現在策定を進めている「立地適正化計画」に基づき、コンパクト・プラス・ネットワークによるまちづくりを進めるとともに、都市計画事業として着手している西20丁目通に係る事業用地取得と北海道やJR北海道との協議を進めてまいります。また、次期「都市計画マスタープラン」及び「緑の基本計画」の策定に取り組んでまいります。

さらに、道路環境の整備については、生活道路の改良舗装、橋りょうや幹線道路の長寿命化に取り組んでまいります。

安全な住まいづくりについては、旧耐震基準の木造住宅やブロック塀の改修費助成のほか、高い耐震性や断熱性、脱炭素化に資する機能を備えた、北方型住宅の建設費補助を実施してまいります。

また、市営住宅については、中長期的な需給バランスを考慮した適切な戸数管理を進めてまいります。

公共交通については、効率的で利便性の高い、持続可能な交通体系の構築と利用の普及に努めるとともに、次期「地域公共交通計画」の策定に取り組んでまいります。

上下水道については、「地域を支える持続可能な上下水道」を基本理念として、引き続き、計画的な施設整備と効率的な運営に努め、安全で快適なライフライン機能の充実を図ってまいります。

緑豊かなまちづくりの推進については、「いわみざわ公園バラ園」を核として、市の花「ばら」によるまちづくりを市民と協働で推進するとともに、利根別原生林といわみざわ公園が一体的に利用できる散策路の整備を進めてまいります。

ゼロカーボンシティの実現に向けては、地球温暖化防止実行計画に基づき、太陽光発電設備の導入補助や公共施設等における照明設備のLED化など、温室効果ガス排出量の削減に努めるとともに、現在策定を進めている「地域GX推進マスタープラン」に基づき、地域特性に応じた再生可能エネルギーの活用に取り組んでまいります。

地域情報化の推進については、産学官民の連携・共創のもと、地域特性であるICT環境を最大限に活用し、行政サービスをはじめ、産業や教育、子育て、健康、医療、除排雪など、様々な分野でDXを進めることで、人口減少が進む中にあっても、市民生活の利便性や経済活動の効率性等を高め、市民の皆さまが豊かさを実感できる地域社会を目指してまいります。

6.市民とともに創る 持続可能で自立したまちづくり

最後に、重点分野6点目の「市民とともに創る 持続可能で自立したまちづくり」です。

様々な対話の機会を通じ、市民の皆さまの想いを市政に最大限反映するよう努めるとともに、広報誌やホームページ、SNSなど、多様な情報発信手段を効率的に活用し、市民目線に立った情報の発信と共有を進めてまいります。

また、子育て環境をはじめとする当市の様々な魅力を市内外に発信し、より多くの方に興味・関心を持っていただけるようプロモーション活動に取り組んでまいります。

行政サービスの充実については、「書かない窓口」やキャッシュレス決済の活用、電子申請の推進など、スマートデジタル自治体の取組みを進め、市民の皆さまが質の高いサービスを実感できるよう、利便性向上と業務の効率化を図ってまいります。

また、職員研修の充実や国・北海道などとの人事交流を通じて、職員の専門知識の習得や政策形成・課題解決能力の向上を図るとともに、複雑かつ高度化する行政課題に対応する広い視野と横断的思考を持った組織の構築に取り組んでまいります。

公共施設等総合管理計画に掲げている施設の総量削減については、今後の厳しい財政見通しを踏まえ、市民の皆さまへの丁寧な説明に留意しながら、具体的な再編を進めていくとともに、次期「公共施設再編基本計画」の策定に取り組んでまいります。

南空知圏域における広域行政の推進については、圏域の人口規模が縮小する中、行政事務の効率化や経営資源の共同利用など、地域課題に広域的に取り組み、質の高いサービスを持続的に提供していくため、「南空知定住自立圏」を形成し、将来にわたって安心して暮らし続けられる、活気ある地域づくりに取り組んでまいります。

むすび

令和7年度の予算は、徹底した「選択と集中」の視点に立ち、歳出予算の削減と事業の再構築を行うとともに、医療体制の確保やこども・子育て支援をはじめとした、地域の未来に資する事業には重点的に配分いたしました。

その結果、一般会計の総額は481億円、前年度比0.2パーセントの減、特別会計と企業会計を合わせた全会計の総額は986億1,900万円、前年度比7.9パーセントの増となりました。

これまで以上に厳しい財政状況の中、財政調整基金から、病院事業会計に対する貸付金の9億円を含め、19億円の繰入れをすることとなりますが、現在見直しを進めている「中長期財政計画」の着実な推進により、将来を見据えたまちづくりと持続可能な財政運営の両立に取り組んでまいります。

以上、令和7年度の市政方針と所信を申し上げました。

議員各位並びに市民の皆さまのご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。

この記事に関するお問い合わせ先

企画室
〒068-8686 北海道岩見沢市鳩が丘1丁目1番1号
直通電話:0126-35-4834
代表電話:0126-23-4111
ファックス:0126-23-9977


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