○岩見沢市私有林整備事業実施要領
令和元年7月17日
農政部長決定
岩見沢市私有林整備事業の実施については、岩見沢市私有林整備事業補助金交付要綱(令和元年7月17日告示第106号。以下「要綱」という。)によるほか、本要領によるものとする。
第1 事業の内容等
要綱第3条に規定する補助対象事業の内容については、以下のとおりとする。
1 除伐、保育間伐、間伐について
(1) 保育間伐、間伐において、不良木の淘汰(育成しようとする樹木の一部を伐採することにより本数密度の調整、残存木の成長促進等を図ることをいう。)を実施する場合は、育成しようとする樹木の立木本数の20パーセント(地形等により気象害の発生が明らかに予想される場合又は施業体系から20パーセント未満とすることが適切であると判断される場合は10パーセント)以上伐採する場合に補助対象とする。また、除伐において不用木の除去(育成しようとする樹木以外の木竹であって、育成しようとする樹木の生育の妨げとなるものを伐採することをいう。)のみを実施する場合は、原則として不用木を全て除去する場合に補助対象とする。
(2) 森林経営計画に基づいて行う保育間伐及び間伐とは、当該計画において間伐として計画されているものに限る。
(3) 保育間伐及び間伐の伐採率については、(1)に定める下限のほかに上限は特に設けないが、岩見沢市森林整備計画に定められた間伐の標準的な方法に留意して間伐を行うものとする。
(4) 除伐、保育間伐、間伐の実施に当たっては、過去5年以内に同一施行地において国庫補助事業及び岩見沢市私有林整備事業による除伐、保育間伐、間伐を実施していない場合に補助対象とする。ただし、(1)の規定により、地形等により気象害の発生が明らかに予想され又は施業体系から伐採率を20パーセント未満とすることが適切であると判断され10パーセント以上20パーセント未満の伐採が行われた保育間伐、間伐の施行地については、その実施から5年を経過していなくても実施することができるものとする。
(5) 保育間伐及び間伐において、気象害等の被害を受け不良木となったものの淘汰を実施する場合については、次により実施するものとする。
ア 二次災害や病虫害の発生、景観の悪化等、公共性、公益性の観点から必要と認められる場合においては、伐採木等の林内からの除去も含め流出防止に努めるものとする。
また、同様の観点から、早期に実施する必要があると認められる場合においては、過去5年以内に保育間伐、間伐又は更新伐が実施された施行地であっても実施できるものとする。
イ 保育間伐においては12齢級まで実施することができる。
(6) 搬出集積の範囲は、作業ポイントまでを含むものとする。
2 枝打ちについて
枝打ちの高さは地上おおむね8メートルを上限とする。
3 鳥獣害防止施設等整備について
(1) 施設等整備については、野生鳥獣による被害が継続している地域において実施するものとする。
なお、防護柵の設置に当たっては、野生鳥獣の移動の制御等を図る目的で設置する簡易な工作物とし、保護すべき施行地(予定地を含む。)が小規模・分散している場合には、複数の施行地を含む森林を対象とすることができる。
(2) 施設改良については、次に掲げる全ての要件に該当するものであること。
ア 森林整備事業の実施における標準的な規格(過去に示されていたものを含む。)に相当すると認められる既設の防護柵の改良であること。
イ 改良の内容については、防護柵へのスカートネットの追加、防護柵の嵩上げといった森林被害の防止のための施設の機能向上、又は、暴風、こう水、高潮、地震その他の異常な天然現象やこれらに帰因する倒木等により被害を受け、機能が適切に発揮されなくなった施設の復旧とし、維持管理に係るものでないこと。
(3) 施設等整備には、食害防止チューブ、忌避剤等を含むものとする。
4 森林作業道整備について
(1) 森林作業道の改良
森林作業道の改良については、次に掲げるすべての要件に該当するものであること。
ア 原則として、本事業において開設した森林作業道(平成22年度以前に開設した作業道等を含む。)であって、開設後3年以上を経過したものの改良であること。
イ 改良の内容については北海道の「北海道森林作業道作設指針」(平成23年3月31日森整第1219号)第3に定める切土、盛土、簡易構造物等及び排水施設の設置等とし、維持管理に係るものでないこと。
(2) 森林作業道の継続的使用
要綱第5条第1項に定める「年間計画」に記載された「北海道森林作業道作設指針」に適合する既設の森林作業道において、当該森林作業道と同一線形や施業対象区域の拡大を伴わない森林作業道の開設などの森林施業の効率性の向上に貢献しない森林作業道整備は実施できないものとする(森林作業道の復旧を除く)。
(3) 事業実施後に当該森林作業道を管理する権原を有する者を書面において明らかにすること。
5 事業主体について
ア 規約の内容
イ 構成員の氏名又は名称及び住所並びに代表者等の氏名を記載した名簿の内容
ウ 施行地の森林所有者
(2) 市長は、森林所有者の団体が事業を実施するに当たっては、補助金の受領及び配分についての帳簿等を整理保管するよう指導するものとする。
6 事業規模等について
森林経営計画に基づいて行うものは、現に認定を受けている森林経営計画(以下「現計画」という。)において森林経営計画の継続性があることが確認できる場合は、現計画と旧森林経営計画の両計画に計画され、かつ、両計画の計画期間にまたがって行われた間伐の施行地については、当該施行地の面積及び搬出材積の全てを現計画に基づくものとして取り扱うことができるものとする。
第2 森林作業道の維持管理
森林作業道の開設及び改良を実施した事業主体又は当該森林作業道を管理する権原を有する者は、森林作業道台帳を作成するとともに、市長からの求めに応じ、これをいつでも提示できるよう管理を行うものとする。
第3 補助金の交付関係事務に関する特記事項
1 事業の予定及び実行の確認等に必要な書類等について
市長は、本事業及びこれに関係する補助金交付等の事務を適正かつ円滑に行うため、本事業の事業主体(事業主体になろうとする者を含む。以下同じ。)に対し、以下により、実行の確認に必要な書類の整備等を指導するものとする。
(1) 現地写真の撮影
ア 事業主体は、事業の施行地ごとに、事業実施前、事業実施中及び事業完了後の状況を撮影するものとする。
イ 保育間伐のうち第1の1の(5)により気象害等の被害を受け不良木となったものの淘汰並びに第1の4の(1)のアの開設後の経過年数要件を適用しないで森林作業道の復旧を実施する場合にあっては、事業実施前の状況についても撮影するものとする。
ウ 間伐については、伐採木の搬出状況を撮影するものとする。なお、必要に応じて集積場所におけるはい積状況等を撮影するものとする。
エ (2)により現地測量を行う場合は、その実施状況を撮影するものとする。なお、GPS測量を行う場合及び北海道の「造林事業竣工検査要領」(平成14年5月31日森整第452号)の第4の1により現地検査を行う場合にあってはこの限りではない。
オ アからエにより撮影する写真は、原則としてGPSデータが記録されたものとする。
カ このほか、北海道の「造林事業に係る事業写真の取扱い」(平成15年4月16日森整第178号)の規定を準用するものとする。
(2) 現地測量の実施
事業主体は、現地測量を実施する場合にあっては、以下により実施するものとする。
ア 測量方法は、ポケットコンパス等による測量とする。ただし、面積1ヘクタール未満の小施行地については、要点間の距離測定による簡易法によることができる。この場合、測量始点を簡易な方法で現地に表示するものとする。
イ アのただし書きの規定は、森林作業道整備に係る線形の測量には適用しない。
ウ 測量の免諒限度は、方位角及び高低角各2度、距離5/100とし、これを超えるときは再測量を行う。
エ このほか、北海道の「造林補助金交付申請書に添付する造林実測図の作成方法」(昭和48年7月18日造林第820号)の規定を準用するものとする。
2 補助金の交付申請等について
(1) 交付申請の単位
本事業に係る補助金の交付申請は、個々の施行地を最低単位として行うことができる。
ただし、一体的に実施すべき事業であって同一の事業主体が同時期に実施するものについては、これらを一括したものを単位として交付申請を行うものとする。
(2) 複数の申請単位に係る一括申請
本事業に係る補助金交付の申請を行う事業主体又は事業主体から委任を受けて補助金等の交付申請を行う代理人(以下「補助金交付申請者」という。)は、複数の申請単位((1)に定める交付申請の単位をいう。以下同じ。)に係る交付申請を一括して行うことができる。
この場合、交付申請に係る3に定める書類等において、異なる申請単位に係る記載内容を明確に区別できるようにするものとする。
(3) 複数の申請単位に係る補助金の一括受領
補助金交付申請者は、(2)により一括して交付申請を行った複数の申請単位に係る補助金を、一括して受領することができる。
3 補助金交付申請書の作成及び提出について
市長は、本事業に係る補助金交付申請書及び添付書類の取り扱いについて、要綱第6条によるほか、以下に即して規定等を作成するなど、補助金申請事務の円滑化を図るものとする。
(1) 補助金交付申請書に添付する書類等について
補助金交付申請者は、補助金交付申請書に以下の書類を添付して補助金の交付申請を行うものとする。
ア 申請内訳書(交付申請に係る施行地の地番、事業主体、森林所有者、面積、事業内容、事業実行者(森林所有者や事業発注者からの受託又は請負により実作業を行った者とし、自己所有林で自ら作業を実施した場合は記載を要しないものとする。)、現場労働者(「森林環境保全整備事業における標準単価の設定等について」(平成23年3月31日付け22林整整第857号林野庁整備課長通知。以下「標準単価設定通知」という。)第3の1の(1)に規定する現場労働者をいう。以下同じ。)の有無等を記したもの)
イ 施業箇所位置図(縮尺5万分の1の地形図又は適宜の管内図に施行地の位置とその番号を記したもの)
ウ 施業図(縮尺5千分の1の森林計画図等に施行地の測点、測線が挿入された図面、縮尺5千分の1の実測図、精度が高い図面のいずれかの図面)
エ 間伐に係る伐採木の搬出材積集計表(間伐に係る交付申請の場合に限る。)
オ 現場労働者に係る社会保険等の加入状況調査表(施行地ごとに事業に従事した各現場労働者について、標準単価設定通知に掲げる社会保険等の加入状況を記載した表。ただし、直営施工等であって、年度当初に一括して社会保険等の加入状況を確認できる場合等にあっては添付を省略することができる。)
カ 森林作業道整備線形図(縮尺5千分の1の森林計画図その他の地形が判読できる図面に開設又は改良を行った森林作業道の線形、延長、標準断面図及び標準設計を適用した部分並びに当該部分について適用した標準断面図及び標準設計を記載したもの。ウの施業図に必要事項を記載したものでも差し支えない。)
キ 補助金の交付申請又は受領に係る委任状(事業主体から委任を受けた者が補助金の交付申請又は受領を行う場合に限る。)
ク その他「造林事業竣工検査要領」の第7に掲げる書類
(2) (1)のアの申請内訳書に記載する森林所有者名及び地番は、原則として、林地台帳、森林経営計画、不動産登記簿等に記載されているものとする。
(3) 補助金交付申請書及び添付書類に記載する面積、線形、延長等は、1の(2)に定める現地測量を行った場合には、当該現地測量の成果を利用して求めるものとする。
なお、現地測量に代えて、精度の高い既存の図面を利用して求めることができるが、この場合は「造林補助事業竣工検査内規例についての一部改正について」(平成23年4月1日付け22林整整第864号林野庁長官通知)7の(2)の取扱いによるものとする。
(4) 要綱第3条第1項第2号の保育間伐において、伐採しようとする樹木の胸高直径の平均が18センチメートル未満の場合(7齢級以下(天然林にあっては12齢級以下)の林分及び第1の1の(5)により気象害等の被害を受け不良木となったものの淘汰を除く。)にあっては、伐採した不良木の平均胸高直径調査表を添付するものとする。
(5) 補助金交付申請者は、(1)に掲げるもののほか、以下の書類を整備するものとする。なお、これらの書類は、補助金交付申請書への添付は要しないが、補助金交付申請者はこれらの書類を保管し、竣工検査時に検査員へ提示するものとする。
ア 測量野帳((4)の調査野帳を含む。)
イ (1)のア、エ及びオの証明書等の証拠書類(標準単価設定通知第3の2のなお書きを適用する場合にあっては、実質的な管理・監督の状況の記録を含む。)
ウ 現地写真(1の(1)により撮影した写真)
エ 開設又は改良を行った森林作業道を管理する権原を有する者を明らかにする書類
(6) (1)、(4)及び(5)に掲げる書類等については、補助金交付申請者が、事業の終了の翌年度から起算して5年間保存するものとする。
4 代理申請者への指導について
市長は、事業主体からの委任を受けて本事業に係る補助金の交付申請又は受領を行う者(行おうとする者を含む。以下「代理申請者」という。)に対し、次によるよう指導するものとする。
(1) 代理申請者は、補助金を受領した場合には、速やかにこれを事業主体に交付するものとし、みだりに支払いを遅延したり、他に流用することがないようにするものとする。
(2) 受領した補助金は、市長が交付に当たって示した内訳に従い、全額事業主体に支払うものとする。ただし、この場合、直接その事業に関係ある次に掲げる経費については、事業主体の書面による承諾に基づき相殺することができるものとする。
ア 補助金事務取扱手数料
イ 当該事業に使用した事業資材の立替代金又は売払代金
ウ 当該施行地の森林保険料
エ 私有林整備事業の間伐のうち申請単位に係る事業主体が複数であるものの実施に必要な経費の一部であって、あらかじめ書面により各事業主体が負担することを合意しているもの
(3) 代理申請者が事業主体から受ける補助金事務取扱手数料((2)により事業主体に支払うべき補助金と相殺するものを含む。)は、原則として、補助金交付申請書(添付書類を含む。)の作成及び提出並びに補助金の受領その他の補助金の交付関係事務の処理に必要な実費の範囲内とするものとし、あらかじめ事業主体に対し書面その他の方法により内容、金額等について周知する等、その透明化を図るものとする。
5 受託事業に係る経費の透明化について
(1) 市長は、森林所有者からの受託により事業を実施しようとする事業主体に対し、あらかじめ事業に係る経費の見込みを示すとともに、事業終了後は、速やかに当該経費の明細書等を森林所有者に報告するよう指導すること。
(2) 組合員からの受託により事業を実施した森林組合は、毎年度、当該事業の内容、収支等を決算関係資料等で明らかにして総会に諮る等、経費の透明性に努めること。
6 補助金の査定について
本事業に係る補助金の査定の取扱いは、次のとおりとする。
(1) 間伐に係る補助金額は、3の(1)のエに定める伐採木の搬出材積集計表において搬出材積を区分したまとまり(以下「査定単位」という。)ごとに、当該査定単位に含まれる施行地の間伐の伐採木の搬出材積の合計を当該施行地の面積の合計で除した値に応じた標準単価を適用して求めるものとする。
また、査定単位の一部に、以下に掲げる間伐が含まれる場合にあっては、当該間伐の査定単位とその他の間伐の査定単位に分け、それぞれ算定するものとする。
ア 伐採方法が異なる間伐
イ 路網や作業ポイントが異なる間伐
(2) 要綱第4条の標準経費は、標準単価に調整率を乗じて求めることができるものとする。ただし、調整率は補助金総額を予算額の範囲内に調整する1未満の係数とする。
(3) 森林経営計画に基づいて行うものには、森林経営計画において計画された施業及び当該施業と一体的に実施される事業(付帯施設等整備については、当該森林経営計画等の対象森林又は当該対象森林と隣接する森林で実施されるものに限る。森林作業道整備については、当該森林経営計画等の対象森林で実施されるもの又は当該対象森林へ到達するために必要と認められるものに限る。)並びに当該森林経営計画の対象森林で突発的に発生する気象害等又は立木の倒伏等に対応した保育間伐であって第1の1の(5)により気象害等の被害を受け不良木となったものの淘汰を実施するもの及び当該森林経営計画の対象森林における鳥獣害防止施設(当該対象森林と隣接する森林において当該鳥獣害防止施設と一体となっているものを含む。)の改良を含む。
7 補助金の交付について
本事業に係る補助金については、原則として、事業の完了後、その実績により補助金を交付する精算払の方式をとっており、このため、要綱第8条第2項により補助金の交付決定と額の確定を同時に行うことを原則としているが、市長が補助金の交付の目的を達成するため、特に必要があると認める場合は、事業の完了前に補助金交付決定額の一部を概算払によって交付することができるものとする。
8 補助金の返還について
(1) 補助金の返還手続きは、岩見沢市補助金等交付規則(平成18年規則第27号)第18条の規定に基づき行うものとする。
(2) 間伐に係る補助金の返還額については、査定単位ごとに求めるものとする。
(3) 要綱第11条第3号の「当該一体的に実施すべき事業を実施すべき期間を経過しても実施しない場合」には、当該一体的に実施すべき事業の事業内容全てが岩見沢市私有林整備事業以外の事業で実施された場合を含まないものとする。
9 事業主体が受託により事業を実施する場合の取扱いについて
事業主体が受託により事業を実施する場合の採択に係る判断基準等については、次のとおりとする。
(1) 受委託契約の締結
事業主体が森林所有者と受委託契約を締結したものに限る。
なお、事業主体が請負者として森林所有者と締結した請負契約は、受委託契約に該当しない。
(2) 森林所有者の従事
森林所有者が所有森林の事業に従事する場合にあっては、(1)のほか、次の要件を満たすこと。
ア 事業主体が補助金の交付申請・受領、測量、その他事業に必要な事務等を実施していること。
イ 事業主体が外部に作業を請け負わせた場合は、仕様書等で具体的な作業指示を行っていること。
ウ 事業主体が直営労働力(臨時雇用を含む。)で実施した場合は、事業主体の職員が作業指示、監督、安全管理等を実施していること、及び、関係法令で義務付けられている雇用保険、労災保険等の保険料等を事業主体が支払っていること。
(3) 特例措置
市長が、災害の発生等からやむを得ないものと認めた場合にあっては、特例的な取り扱いを認めることができることとする。
10 その他
岩見沢市私有林整備事業により実施された森林施業の履歴の情報等について、北海道と市は、それぞれの林務担当部局内で情報共有を図るとともに、両者の密接な連携及び協力の下、森林簿等に適切に反映するものとする。
附則
この要領は、令和元年7月17日から施行する。
附則(令和2年4月27日農政部長決定)
この要領は、決定の日から施行する。