○岩見沢市認知症初期集中支援推進事業実施要綱
平成28年3月25日
健康福祉部長決定
1 目的
介護保険法(平成9年法律第123号)第115条の45第2項の規定に基づき、認知症になっても本人の意思が尊重され、できる限り住み慣れた地域のよい環境で暮らし続けるために、訪問支援対象者及びその家族に対する初期支援を包括的で集中的に行う認知症初期集中支援チーム(以下「支援チーム」という。)を設置し、早期診断及び早期対応に向けた支援体制を構築することを目的とする。
2 実施主体
岩見沢市
3 事業内容
(1) 実施体制
市は、訪問支援対象者の初期支援を行うため、次に掲げるとおりに実施体制を整備するものとする。
ア 支援チームの設置
支援チームは、岩見沢市地域包括支援センターに設置する。
イ 認知症初期集中支援チームの構成
認知症初期集中支援チームを構成する構成員(以下「チーム員」という。)は、以下の条件のうち①の全てを満たす者2名以上、②の全てを満たす専門医1名の計3名以上の専門職とする。
① 保健師、精神保健福祉士、社会福祉士、介護福祉士等の医療保健福祉に関する国家資格のいずれかを有する者
・認知症ケア又は在宅ケアの実務又は相談業務等に3年以上携わった者
・国が行う認知症初期集中支援チーム員研修を受講した者又は研修を共有した者
② 認知症サポート医でありいずれかに該当する医師
・日本老年精神医学会若しくは日本認知症学会が認定する専門医
・認知症疾患の鑑別診断等における専門医療を主たる業務として5年以上の臨床経験を有する医師
ただし、当分の間、医師であり、今後5年間で認知症サポート医研修を受講する見込みの者又は認知症疾患の診断・治療に5年以上従事した経験を有する者(認知症疾患医療センター等の専門医と連携を図っている場合に限る)も認める。
ウ チーム員の役割
イを満たす専門職は、訪問支援対象者の認知症の包括的観察及び評価による初期集中支援を行うために訪問活動等を行う。また、市の地域包括支援センターの職員や保健師、かかりつけ医、認知症サポート医、認知症専門医、介護事業者等との連携を常に意識し、情報が共有できる仕組みを確保する。
(2) 訪問支援対象者
訪問支援対象者は、原則として40歳以上であり、在宅で生活し、及び認知症が疑われる者又は認知症の者で次に掲げる事項のいずれかに該当する者とする。
ア 医療サービス、介護サービス等を受けていない者又は中断している者で次に掲げる事項のいずれかに該当する者
① 認知症疾患の臨床診断を受けていない者
② 継続的な医療サービスを受けていない者
③ 適切な介護サービスに結び付いていない者
④ 介護サービスが中断している者
イ 医療サービス、介護サービス等を受けているが、認知症と思われる行動又は心理症状が顕著に見られるため、その家族等が対応に苦慮している者
(3) 事業の実施内容
市は訪問支援対象者の初期支援を行うため、次の事業を行うものとする。
ア 支援チームに関する普及啓発
地域住民や関係団体に対し、支援チームの役割や機能について広報活動や協力依頼を行うなど、各地域の実情に応じた取組みを行うものとする。
イ 認知症初期集中支援の実施
① 訪問支援対象者の把握
市が訪問支援対象者の存在を把握する上で、支援チームが必ず市の地域包括支援センターを経由して訪問支援対象者に関する情報を入手できるように配慮するものとする。チーム員が直接訪問支援対象者に関する情報を知り得た場合においても、地域包括支援センターと情報共有を図るものとする。
② 情報収集並びに観察及び評価
訪問支援対象者のほか家族等のあらかじめ協力の得られる人が同席できるよう調整を行い、現病歴、既往歴、生活情報等に加え、家族の状況等を情報収集すること。
また、信憑性及び妥当性の検証がされた観察票又は評価票を用いて、認知症の包括的観察及び評価を行う。
③ 初回訪問時の支援
チーム員は訪問支援対象者に対する初回訪問時に、認知症の包括的観察及び評価、基本的な認知症に関する正しい情報の提供、専門的医療機関への受診、介護保険サービスの利用の効果に関する説明及び訪問支援対象者やその家族の心理的サポート等を行う。なお、おおむね2時間以内に行うものとする。
④ チーム員会議の開催
チーム員は訪問支援対象者に対する初回訪問後、訪問支援対象者の一人一人に対する観察及び評価の内容を総合的に確認し、支援方針、支援内容、支援頻度等を検討するため、チーム会議を行う。なお、必要に応じて、訪問支援対象者の主治医、介護支援専門員等の参加も依頼する。
⑤ 初期集中支援の実施
医療機関への受診が必要な場合の訪問支援対象者への動機付けや継続的な医療サービスの利用に至るまでの支援、介護サービスの利用等の勧奨又は誘導、認知症の重症度に応じた助言、身体を整えるケア、生活環境などの改善等の支援を行う。なお、訪問支援対象者が医療サービス、介護サービス等による安定的な支援に移行するまでの間は、おむむね6か月以内とする。
⑥ 引継ぎ後のモニタリング
初期集中支援の終了をチーム員会議で判断した場合、市の地域包括支援センターの職員や担当介護支援専門員等と同行訪問を行う等の方法で円滑に引継ぎを行うこと。
また、チーム員会議において、引継ぎの2か月後に、サービスの利用状況等を評価し、必要性を判断の上、随時モニタリングを行うこと。
なお、支援チームは訪問支援対象者に関する情報、観察及び評価の結果、初期集中支援の内容等を記録した書類を5年間保管するものとする。
⑦ 支援実施中の情報の共有について
訪問支援対象者の情報を地域包括支援センター等の関係機関が把握した場合には、認知症初期集中支援チームに情報を提供する等して情報共有を図り、事業実施すること。
ウ 認知症初期集中支援チーム検討委員会の設置
市は認知症初期集中支援チーム検討委員会を設置し、支援チームの設置及び活動状況を検討する。
4 留意事項
チーム員は、岩見沢市個人情報保護条例(平成15年条例第19号)の規定等を踏まえ、訪問支援対象者及びその家族の個人情報の保護及びプライバシーの尊重に万全を期すものとし、正当な理由がなくその業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
附則
この要綱は、平成28年4月1日から施行する。