○岩見沢における優れた環境と市民の生活を守り高める条例
平成13年3月30日
条例第1号
ふるさと岩見沢は、洗炭で汚れていた幾春別川に清流がよみがえり、110年ぶりに鮭が遡上してきたまち、街なかに利根別原生林のリスやアカゲラが戻ってこようとしているまち、駅前広場のメタセコイアを緑のシンボルとし、並木の緑や周辺の緑が鮮やかに映えるまちである。
岩見沢の優れた自然は、私たちの心のよりどころであり、安らぎを与えふるさとの愛着を育んでくれる貴重な財産である。
私たちは、自然がすべての生命を育む母体であり、健康で文化的な生活に欠くことのできないものであることを認識し、この岩見沢の優れた環境を持続・向上させ、調和のとれた魅力ある都市景観・環境と市民生活を将来にわたって共生することができるようにしなければならない。
街なかの緑や豊かな自然、緑濃い利根別原生林を生かし、田園の落ちついたたたずまいを守り、自然と生活の共生空間「水と緑と文化のプロムナード」を拡大するために、私たちの創造的な活動をさらに展開するものとする。
私たちは、英知を傾け、良好な環境づくりの輪をひろげ、共にふるさと岩見沢の生き生きとした緑の中の安全・健康・文化都市をめざして、このまちの優れた特性である豊かな自然環境や個性を生かした風格のあるまちづくりを進め、これを次の世代に引き継いでいくことを決意し、この条例を制定する。
(目的)
第1条 この条例は、環境と市民の生活を守り高めるために必要な基本理念と基本となる事項を定めるとともに、市民、事業者及び市等の責務を明らかにすることにより、現在及び将来の市民が健康で文化的な生活を営むことのできるまちを実現することを目的とする。
(基本理念)
第2条 市民、事業者及び市等は、それぞれの役割を果たしつつ相互に補い合い協働することにより、岩見沢市におけるすべての人が健全で恵み豊かな環境の恵沢を享受し、市民の生活を守り高めていくまちづくりに努めなければならない。
(市民の責務)
第3条 市民は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、その日常生活において、自ら積極的に恵み豊かな環境を守り高め、廃棄物の減量、再生利用及び適正処理をすすめ、並びに資源やエネルギーの節減に努めるとともに、国、北海道その他地方公共団体及び関係する公的団体(以下「国等」という。)並びに市が実施する関連施策に協力する責務を有する。
(事業者の責務)
第4条 事業者は、基本理念にのっとり、その事業活動を行うに当たっては、自らの責任と負担において、恵み豊かな環境を守り高め、その活動に伴って生ずる生活環境等への被害を防止し、及び廃棄物を適正に処理するために必要な措置を講ずるとともに、国等及び市が実施する関連施策に協力する責務を有する。
(市の責務)
第5条 市は、基本理念にのっとり、市民及び事業者とともに、環境と市民の生活を守り高めるために必要な施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(国等及び事業者との連携等)
第6条 市は、基本理念にのっとり、環境と市民の生活を守り高めるため、国等及び事業者との連携の確保と協働に努めるものとする。
2 市は、国等に対し、岩見沢における環境と市民の生活を守り高めるまちづくりを促進するために必要な協力・支援を行うよう求めるものとする。
(施策の基本方針)
第7条 市は、基本理念にのっとり、次に掲げる基本方針に基づく施策を総合的かつ計画的に推進するものとする。
(1) 市民の健康と生活環境を守り高めるため、大気、水、土壌、動植物等を良好な状態に保持すること。
(2) 市民と自然の共生を図るため、生態系の多様性の確保を図るとともに、森林、緑地、農地、河川等における多様な自然環境を適正に保全すること。
(3) 環境への影響の少ない持続的発展が可能な社会を構築するため、廃棄物の減量、資源の循環的利用及びエネルギーの有効利用を促進すること。
(開発等)
第8条 何人も開発等に当たっては、恵み豊かな環境を守り、市民生活の質を高めるように心がけ、その利活用を図るとともに、損なわれる環境を最小限にとどめ、環境が損なわれた場合は、その回復を図らなければならない。
(快適な冬の生活環境の確保等)
第9条 市民及び事業者は、自ら地域の実情に応じた除排雪に努めるなど、冬の生活環境を守り高めるとともに、市が実施する冬の生活環境を守り高めるための施策に協力しなければならない。
2 市は、快適な冬の生活環境を守り高めるため、市民及び事業者と協働し、地域の実情に即応した効率的な除排雪に努めるとともに、雪を克服し、及び利用し、並びに雪に親しむ総合的な施策を推進するものとする。
(緑豊かな環境の確保等)
第10条 市は、河川空間の整備、河畔林の保全等により、良好な河川の環境を確保するとともに、山並み、丘陵地、農地等からなる緑の連続性に留意し、水と緑に恵まれた良好な環境を守るために必要な措置を講ずるものとする。
2 市は、農地が有する環境に寄与する多様な機能を守り、及び育てるため、農地の有効利用、環境への影響の少ない農業の振興その他の必要な措置を講ずるものとする。
3 市は、前2項に定めるもののほか、歩いて暮らせるまちづくり、水と緑と文化のプロムナードの拡大、調和のとれた魅力ある都市景観・環境の形成等、より質の高い環境を創造するために必要な措置を講ずるものとする。
(施設等の緑化)
第11条 道路、河川、庁舎等の公共公益施設を設置し、又は管理する者及び事務所、事業所、住宅等の建築物を所有し、又は管理する者は、当該施設、建築物及びこれらの敷地について、植樹するなど、それらの緑化に努めるものとする。
(省資源、循環型社会の形成)
第12条 市民、事業者及び市は、それぞれの役割とその責務を自覚し、市のごみ処理三原則である「ごみの減量」、「ごみの再生利用」、「ごみの自然にやさしい処理」を基本として、廃棄物の排出抑制と資源の再利用を進め、省資源・循環型の地域社会づくりを推進するものとする。
2 市は、恵み豊かな環境を守るため、市民及び事業者による資源及びエネルギーの消費の抑制、資源の循環的な利用並びに廃棄物の減量化が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。
3 市は、恵み豊かな環境を守るため、施設の建設及び維持管理その他の市の事業の実施に当たって、資源及びエネルギーの消費の抑制、資源の循環的な利用並びに廃棄物の減量化に努めるものとする。
(地球環境の保全)
第13条 市は、市民、事業者又はこれらの者の組織する民間の団体(以下「民間団体」という。)が行う自主的かつ積極的な地球環境の保全に資する行動を促進するとともに、国等及び民間団体と連携し、地球環境の保全に関する国際協力の推進に努めるものとする。
(環境を守り高めることに関する教育等の推進)
第14条 市は、市民及び事業者が環境を守り高めることについて理解を深め、自発的に活動することを促進するため、環境を守り高めることに関する教育及び学習の推進を図るものとする。
(市民等の自発的な活動の促進)
第15条 市は、市民、事業者又は民間団体による環境を守り高めることに関する自発的な活動が促進されるように、必要な措置を講ずるものとする。
(支援措置等)
第16条 環境と市民の生活を守り高めるまちづくりは、市民及び事業者がそれぞれの責務を自覚するとともに、市民及び事業者の自らの努力により進められることを旨としつつ、相互に協力・連携して推進されなければならない。
2 市は、市民、事業者及び民間団体と協働して、環境と市民の生活を守り高めるまちづくりを推進しなければならない。
3 市は、市民、事業者及び民間団体が環境と市民の生活を守り高めることに資するために、必要があるときは、支援の措置を講ずるものとする。
(条例の位置付け)
第17条 本条例は、環境と市民の生活を守り高めることに関し、他の条例、規則等の法令を含めた市政全体の指針を示すものとする。
(委任)
第18条 この条例の施行について必要な事項は、市長が別に定める。
附則
この条例は、平成13年4月1日から施行する。